美味しいの正体

美味しいの正体

「食生活を変えたい…。」と考える瞬間があります。
ちなみにわたしがそう考えたのは今から12年前のことです。40歳を過ぎて初めての子供が妻のお腹に宿っていることがわかった日からスタートしました。当時、私の体重は82キロ身長が164㎝、どこからどうみても太りすぎでした。おまけに会社の健康診断を受けると血圧が高く尿酸値も高めで健康とはいえませんでした。

子供が二十歳のときには定年間近な年齢です。生きてはいても健康で仕事をしていないとなりません。健康診断の結果を見つめながら私たち夫婦は嬉しさの中にも不安が過ぎりました。

「このままではいけない…」その日から私は適正体重まで持っていく決意をしました。そこで妻が提案してくれたのが野菜スープでした。この文章を書いていて思い出したのですが、野菜スープとの出会いは妻からの提案でした。それから十月十日、妻のお腹がどんどん大きくなるにつれ、私のお腹はどんどん凹んでいきました。82キロあった体重も65キロまで落ちました。毎晩、夕食のはじめに野菜スープを食べていると、ふと気づいたことがありました。はじめは味気なく我慢をしながら食べていたのですが、半年も過ぎた頃、ほんのり甘みを感じるようになりました。少しずつ美味しく感じるようになりました。

明らかに味覚が変わってきました。こってり(油)・甘い(砂糖)・刺激的なおいしさ(化学調味料)が美味しさから、野菜の繊細なうま味、素材の美味しさに気づけるようになりました。

食生活はカンタンには変えられません。それは味覚が変わらないからです。何を美味しいと感じるか?食生活のはじめの一歩は味覚を取り戻すことからなのかも知れません。